特定電気通信においてWebサーバは通信当事者ではありません

やっぱりどうしても発言に影響力のある人なので個別に反応せざるをえない…。というわけで三連続でid:HiromitsuTakagi氏を取り上げます。ストーカーか俺はw

[法律][電気通信事業法]争点1引用裁判例は、被告の主張「経由プロバイダが特定電気通信役務提供者に該当することはない」を否定すべく不特定多数への情報送信でもあると示したものであって、サーバは通信当事者でないと示したわけではない

うーん。では該当の私の記事の引用文からさらに分かりやすいように抽出してみますよ。

ウェブサーバに要求されている役割は、あくまでも当該情報の通過点の1つとして当該情報を不特定多数の者へ送信する作業を行うことのみであり、ウェブサーバないしはその管理者が当該情報の最終的な受け手となって、自ら当該情報を利用することは想定されていない
日本ユニ著作権センター/判例全文・2003/09/17

これをどう解釈したら高木さんのいうように「不特定多数への情報送信である」ってなるんでしょうか。「不特定多数への情報送信のみ(を目的としている)である」としか解釈できませんが。あと被告の主張を受け、それを否定するものだからといって裁判所の解釈がその主張に対する反論でのみ有効なんていう法は無いと思いますよ。この判例においては「電気通信」の1種類である「特定電気通信」においてはWebサーバ(とその役務提供者)は通信当事者ではないと断定していると解釈するのが一般人の感覚だと思いますが。

あと、一応この解釈の背景にある私の考えを述べておくと、「特定電気通信」においては不特定多数に送信されるというその特性からいって、公共性や表現の自由に対する責務が発生するのではないでしょうか。またその裏返しとしてその情報により権利を侵害された者に法的な発信者情報の開示請求権(プロバイダ責任制限法4条)が与えられていると考えるのが妥当ではないでしょうか。

追記(2008/07/21 12:20)

id:HiromitsuTakagi氏のブクマコメントに反応。

[法律][論理]判決はその事例における争点に判断を示すものであり、原告も被告も主張していないことについて判断を示していると読むべきではない。この裁判では被告が「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信では

なんか最後文字数制限かなんかで切れちゃってるんじゃないでしょうか。あといつ[bad]タグをつけられるのかビクビクしているのですがまだつけられていないようです。まぁそれはいいとして。
判断を示しているのは間違いないと思うのですが、既判力とか争点効のことをいっているのですかね。氏の主張はどちらかというと争点効の考えなんでしょうか。争点効は認められていないらしいですが。→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%89%E7%82%B9%E5%8A%B9
ここまでくるとよく分からない部分なのですが
主文(既判力) > 争点判断 > 非争点判断
といった順の強さで形成力が認められると個人的には解釈しました。

追記(2008/07/21 12:35)

うお。なんかほぼリアルタイムで以下のブクマが追加されていた。二つのブクマに分けるってwその発想はなかった。

ない」旨の主張をしたため、それを否定したにすぎない。掲示板サーバが通信当事者でありかつ閲覧者も通信当事者であるという状況が、あり得るのかあり得ないのかについてはこの判決は何も示していないと読むべき。

なるほど。氏の主張はよくわかりました。そもそも主文以外には既判力がないというのも私は最初理解していなかったですし。ただ、他の裁判所が参考にする程度ではあるんじゃないかなぁとか思うのです。
で、ちなみにid:HiromitsuTakagi氏はやはり掲示板サーバは通信当事者でありそしてそれにより通信の秘密を放棄できるという考えなのでしょうか。そこのところが気になります。

Wikipediaでも開示はやはりNGみたい。

Wikipedia:チェックユーザーの方針 - Wikipedia

IPアドレスの開示は以下の場合に行うものとする

1. チェックを受けた本人の同意がある場合
2. チェックを受けた本人の同意がない場合は、公的機関(裁判所・警察など)からの令状その他の法的強制力を伴う要求を受けた場合に限る。

この場合IPアドレス開示先は公的機関(裁判所・警察など)に限る。
(注)任意照会の場合に本人の同意無しにIP開示を行うと、法的責任を問われる可能性がある。

根拠法が電気通信事業法4条かどうかは分かりませんが概ね自分と同じ考えなんじゃないかなぁと思います。

あ、ちなみに前エントリの件はノートであってWikipediaの公式見解ではないという理解でいいのかなぁ。まぁあれはCheckUserの積極的知得を主に扱っていて開示(窃用)を扱ってはいないけど…(そもそも通信の秘密に該当しないと結論づけてたけど・・・)

ブログ主のIP晒しは通信の秘密侵害についての再まとめ

経緯

いろんなところに飛び火してそれぞれのコメント欄でやりとりしていたので今何が争点になっているのか?というのが分かりづらくなってきたので軽くまとめてみますね。

自分のブログ中の関連エントリは以下

特定電気通信と通信の秘密とはてなアイドルと - へぼへぼプログラマ日記
特定電気通信の通信の秘密に関するまとめ - へぼへぼプログラマ日記
otsuneさん、そりゃあんまりだよ… - へぼへぼプログラマ日記

飛び火したエントリは以下

ブログ管理者が、コメント者のIPを晒す行為について - 『書物の迷宮』予告篇
http://d.hatena.ne.jp/steam_heart/20080710/p3
2008-07-10
IP を晒しても通信の秘密を侵害しない理由 - SiroKuro Page
「IP晒しが犯罪かどうか」問題は奥村弁護士に聞くのが一番早い気がする - 見ろ!Zがゴミのようだ!

この中できちんと論理を組み立てて反論していただいているのはGavagai(id:steam_heart)さんところとsol1og(id:sol1og)さんのところだったりします。

争点

主に争点は二つあるようです。

1. ブログ主はコメントの発信者からみて受信者である

これは、id:steam_heartid:sol1ogのお二人ともに共通する論理。

この場合、じゃあ受信者ってのは誰よ、ということになるが、日記書いている人じゃないんだろうか。他に特定可能な受信者、もないし。コメント欄なんだし。もし受信者が居ない、ってことになれば、それは通信じゃなくて公開、と判断するだろうから、通信そのものが成り立たない。
http://d.hatena.ne.jp/steam_heart/20080710/p3

ブログ主は、発信者からみて

「当該情報を不特定多数の者へ送信する作業を行うことのみ」を要求している相手ではないし、

むしろ不特定多数の中の主たる送信先であると考えます。
2008-07-10

2. ブログ主が知ったIPアドレスは「電気通信事業者の取扱中に係る情報」ではない

これはid:sol1ogさんの論理です。

ブログ主がIPアドレスを見た時は、

電気通信事業者の取扱中に係る」情報ではないと考えます。

ブログ主は、電気通信事業者(はてな)が取扱いを終えて、

ブログ主に送った後にしか見られないからです。
2008-07-10

私の解釈

争点1

コメントの受信者はブログ主ではなく不特定多数です。これに関する説明は以下の判例中の裁判所の判断部分がとても分かりやすいので引用します。

一般に、インターネットを用いて情報発信をする際には、経由プロバイダを介してインターネットに接続し、ウェブサーバ上の記録媒体に情報を記録し、あるいはウェブサーバの送信装置に情報を入力することによって、当該情報をインターネット上で閲覧可能にする、という方法が採られる。
 この場合、ウェブサーバの記録媒体ないし送信装置に情報を送信する必要があるが、この情報送信は、飽くまで発信者が不特定多数の者に対し情報を送信するためだけに行われるものである。ウェブサーバに要求されている役割は、あくまでも当該情報の通過点の1つとして当該情報を不特定多数の者へ送信する作業を行うことのみであり、ウェブサーバないしはその管理者が当該情報の最終的な受け手となって、自ら当該情報を利用することは想定されていない。
 すなわち、発信者からウェブサーバへの情報の送信は、この部分だけを取り出して見れば、1対1の通信となるが、それだけでは独立の通信としての意味を有するものではなく、発信者から不特定多数の者へ情報発信を行う過程の不可欠な一部分としてのみ意味を有するものである。
 したがって、発信者からウェブサーバへの情報の送信とウェブサーバから不特定多数の者への情報の送信を、それぞれ別個独立の通信であると考えるべきではなく、両者は一体不可分であり、全体として1個の通信を構成すると考えるのが相当である。
 そして、両者が一体となって構成された1個の通信は、発信者から不特定多数の者に対する情報の送信にほかならないものであるから、これが「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信」であることは明らかである。
 したがって、発信者からウェブサーバへの情報の送信は、発信者から不特定多数への情報の送信という「特定電気通信」の一部となると解するのが相当である。
日本ユニ著作権センター/判例全文・2003/09/17

争点2

たしかにこの争点は難しいです。ともすれば立法論に逃げたくなるような問題です。法解釈論的な私の論理は以下のコメント欄において記載していました。

はてながそもそも日記管理者にIPアドレスを知得させているのが正当業務行為としてみとめられる理由としてはSPAM等の対応管理業務を委託しているからですよね。自分はそもそもここにも問題があると感じておりますが、それが認められるとした場合、日記管理者は電気通信事業者であるはてなからの管理業務委託をうけており、その範囲内ではてなの取り扱い中に係る通信の秘密を知得したと考えるべきではないでしょうか。そしてそれにより日記管理者ははてなと一体と見ることができ、はてなと同等の通信の秘密に関する守秘義務を負うべきではないでしょうか。
もし、それが認められないとすればそのことをもってはてなが日記管理者にIPアドレスを知得させているのはやはり(はてなが)通信の秘密を侵している(窃用)といえないでしょうか。そもそも日記管理者にIPアドレスを知得させる必要性が技術的にも絶対とはいえないわけで。(SPAM対策ならはてなが独自にやればいい)
特定電気通信の通信の秘密に関するまとめ - へぼへぼプログラマ日記

苦しいですかね?もしこの解釈が認められないと多くの人が感じるか司法が判断するのであれば、、、。という前提で次回エントリはこの問題についての立法論的な話をしたいと思います。表題は「通信の秘密の空白地帯について」あたりでしょうか。

まとめ

なんというか疲れました。自分なりの解釈を再度まとめてみましたが、読者のみなさんはみなさんなりの解釈をして行動をすればよいと思います。また、上記の争点についての再反論や新たな争点の提起や間違い指摘ありましたら歓迎します。

Wikipediaでも送信元IPと通信の秘密侵害について考察されていた

Wikipedia‐ノート:チェックユーザーの方針/通信の秘密について - Wikipedia
やはり争点は「電気通信事業者取扱中に係る情報」か?というところに絞られているみたい。結論は侵害しないだそうな。

ブログの管理者は「特定電気通信役務提供者」です

はじめに

スリードしないでおいてもらいたいのはこの記事はあくまでも表題の件についての争点の整理であり通信の秘密に関する争点はここでは取り上げません。それについてはまたこの後に。

ことのおこり

ここ数日の通信の秘密関連の議論の際の一つの争点に、コメント欄を有するブログ主がプロバイダ責任制限法で定義される「特定電気通信役務提供者」なのか?というのがありました。

特定電気通信と通信の秘密とはてなアイドルと - へぼへぼプログラマ日記
ブログ管理者が、コメント者のIPを晒す行為について - 『書物の迷宮』予告篇
http://d.hatena.ne.jp/steam_heart/20080710/p3

定義

「特定電気通信役務提供者」

特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO137.html

「特定電気通信設備

特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備電気通信事業法第二条第二号 に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO137.html

電気通信設備

二  電気通信設備 電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備をいう。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S59/S59HO086.html

争点

「特定電気通信設備」が物理的な設備のみなのか、物理的な設備上のデータ(掲示板やブログ)も範疇内なのか。

私の解釈

そもそも電気通信設備の定義には「その他の電気的設備」というような曖昧なものが含まれており、かなり柔軟に解釈できると考えています。
私は現代のように他人の通信を媒介するものが物理的な設備を持っているものだけにとどまらずレンタル掲示板やブログといったものを管理するものがいることを踏まえ現代的に解釈するならばそれは電気通信設備と考えてよいと思っています。

判例

で、この件につき、根拠となる重要な判例を見つけたので紹介しておきます。ちなみに判決がでたのはかなり最近というか2か月ぐらいしかたっていません。

平成19(ワ)6473損害賠償請求事件(pdf)
これは、レンタル掲示板サイトにおいて掲示板を開設した被告に対し、その掲示板内に誹謗中傷を書かれた原告が削除義務を怠ったとして損害賠償請求を求め、それが認められたという事件です。で、今回その原告に対して裁判所が判決文中に

(1) 前提事実(1)イ,(2)によれば,本件掲示板が「特定電気通信」(プロバイダ責任法2条1号)に該当し,被告が「特定電気通信役務提供者」(同条3号)に該当すると認められる。

との判断を示しています。前提事実の部分も引用しておくと

前提事実(1)イ

イ被告は,平成18年8月当時,インターネット上の「Bレンタル掲示板:C」において,「Aちゃんねる」,「Dちゃんねる」,「Eちゃんねる」等の名称でインターネット上の掲示板(以下「Aちゃんねる」を「本件掲示板」という。)を設置し,管理運営していた者である。

前提事実(2)

(2) 本件掲示板は,不特定多数の者が,自由に,匿名で書き込むことができるものであるが,被告は,本件掲示板への書き込み及びその削除についてのルールを定め,「お約束」の表題の下に,?実名の書き込みはいけない,?一般常識から外れたことは書き込まない,?削除依頼時はスレッドのアドレスとレス番号を明記する,?第三者から見て特定可能な情報でない場合は削除対象外とする,などのルールを掲記している。また,本件掲示板には,管理人への連絡手段が表示されており,書き込みの削除は,利用者からの削除依頼により,管理人が対象の削除基準該当性を判断した上で,管理人により削除される形態となっている。

以上のように物理的な設備を管理していない被告を「特定電気通信役務提供者」と認めています。まぁこの裁判においては「特定電気通信役務提供者」かどうかは争点にはなっていないようなので判事が真剣に検討したのかは少し疑問の余地がありますが。とはいってもこれを覆すには新たな判例が必要ではないでしょうか。

まとめ

コメント欄を有するブログ主やレンタル掲示板の管理者やその他特定通信の媒介となっているサイトを運営している人はほぼ「特定電気通信役務提供者」とみてよいと思います。

おまけ(ブログ管理者さんやレンタル掲示板運営者さんへ)

ブログをやっている皆さん、「特定電気通信役務提供者」にあたるからといってそんなに心配しないでください。該当するとどんなメリットデメリットがあるのかというのを以下に記しておきます。あ、一応注意ですがプロバイダ責任制限法の(法律の専門家でもない私の)個人的まとめなので参考程度にしてください。

開示請求権を自己の権利を侵害された者にもたれる(デメリット?)

それに、これが日記書いている人が対象だったら、みんなblogやってられませんよ。発生する義務は見ている?
開示請求に答えなきゃいけないんだけど。七日間で。
http://d.hatena.ne.jp/steam_heart/20080710/p3

といっている方もいますが、それは勘違いです。そんな義務は発生しません。条文のどこに書いてありますか?
基本的には「自己の権利を侵害された者」があなたに対しての開示請求権を持つということぐらいなもんです。その場合においても開示する義務はありません。ただし、開示しないことに重大な過失があればその限りではないので注意が必要です!

尚、権利を侵害したとされる情報の発信者の連絡先を知っている場合は開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならないともされています。
まぁブログ主やレンタル掲示板管理者は普通発信者の連絡先なんか知らないよね。ただ会員制掲示板サイトとかをやっている人でメールアドレスなんかを知っている人は意見を聞く義務はありそうです。

損害賠償責任の制限(メリット)

まず、利用者の発言(など特定電気通信)の削除(など送信防止措置)を行った場合に発生した利用者の権利侵害(表現の自由の侵害等)についてある条件においては免責されます。詳しくは3条2項をみてください。
また、削除を行わなかった場合に発生した他人の権利の侵害についてもある条件において免責されます。詳しくは3条1項をどうぞ。

otsuneさん、そりゃあんまりだよ…

otsune netwatch 何だこれ。電波さんと同じ論理展開じゃないか。JANOGでも通用するような根拠のある主張じゃないからまともに相手にされてないだけだって。
はてなブックマーク - otsuneのブックマーク / 2008年7月10日

まとめに至った根拠に関しては
特定電気通信と通信の秘密とはてなアイドルと - へぼへぼプログラマ日記
において自分なりに提示したつもりなんですが…。何故JANOGでも通用するような根拠じゃないとするのか意味が分からないのですが。

twitterのほうでいくつか返答をいただいていますが、このブログをご覧になっている方にも議論の推移が分かるようにこちらで回答します。
で、いったんこちらにtwitter上での流れも引用します。

@nihen つきつめると「東京都 25歳 会社員山田太郎」って俗語で言うところの個人情報だけど、新聞の投書欄に手紙を出してそれが掲載されても通信の秘密を破ったわけじゃないよね。Webアクセスでは「IPアドレスだけで個人情報だ」は社会通念になってないから根拠が必要だよ lang:ja
ǝunsʇo ıɯnɟɐsɐɯ on Twitter: "@nihen つきつめると「東京都 25歳 会社員 山田太郎」って俗語で言うところの個人情報だけど、新聞の投書欄に手紙を出してそれが掲載されても通信の秘密を破ったわけじゃないよね。Webアクセスでは「IPアドレスだけで個人情報だ」は社会通念になってないから根拠が必要だよ ..."

@otsune 新聞の投書の話はその情報が公開されることが広く一般に合意されているから可能なのではないでしょうか。通常公開されていなかったものが合意もなしに突然公開されたら通信の秘密を侵していると考えてよいのかと
Masahiro Chiba on Twitter: "@otsune 新聞の投書の話はその情報が公開されることが広く一般に合意されているから可能なのではないでしょうか。通常公開されていなかったものが合意もなしに突然公開されたら通信の秘密を侵していると考えてよいのかと"

@otsune それと「IPアドレスだけで個人情報だ」というような主張はまったくもってしていないのですが・・・。
Masahiro Chiba on Twitter: "@otsune それと「IPアドレスだけで個人情報だ」というような主張はまったくもってしていないのですが・・・。"

@otsuneさんはここらへんの議論を経ているから自分が「IPアドレスは個人情報だ!」といっていると曲解しちゃっているんじゃないかとおもった。
http://i.hatena.ne.jp/idea/5344
Masahiro Chiba on Twitter: "@otsuneさんはここらへんの議論を経ているから自分が「IPアドレスは個人情報だ!」といっていると曲解しちゃっているんじゃないかとおもった。http://i.hatena.ne.jp/idea/5344"

@nihen そもそもオレは個人的に「IPアドレスが公開されることは暗黙で合意していて当然だしTCP/IPの常識」だと思っているので、nihenさんの主張は単なる「そう思う論」にしかみえないなぁ。JANOGでも通用するような根拠が有ればいいんだけど
ǝunsʇo ıɯnɟɐsɐɯ on Twitter: "@nihen そもそもオレは個人的に「IPアドレスが公開されることは暗黙で合意していて当然だしTCP/IPの常識」だと思っているので、nihenさんの主張は単なる「そう思う論」にしかみえないなぁ。JANOGでも通用するような根拠が有ればいいんだけど http://twit ..."

IPアドレスが公開される」=「通信の秘密の保護の対象外」という意味でしょうか。
それこそ、その認識はotsuneさんの個人的な「そう思う論」です。
IPアドレスが通信の秘密の対象内であることの根拠は最初の記事でも示したように総務省発行の
Inbound Port 25 Blocking導入に関する法的な留意点(pdf)に記載してある通りです。もちろん総務省の法解釈がすべてだというつもりもありませんがこれを否定する法令や法解釈が見当たらない以上十分有用な根拠と言えないでしょうか。
また、最初の記事のコメント欄においては、補足的にプロバイダ責任制限法の発信者情報開示の情報中にIPアドレスが含まれていることも通常は通信の秘密で保護されていると解釈するに足る根拠となるのではないかということも言っています。
また、逐条解説電気通信事業法においても「通信の秘密」について

通信内容にとどまらず、通信当事者の住所、氏名、発信場所等通信の構成要素や通信回数等通信の存在の有無を含むものである

と解説されているようです。
(逐条解説電気通信事業法は残念ながら手元にないので「次世代の情報セキュリティ政策に関する研究会」の平成20年5月23日配布資料8-7からの二重引用となっています。なお、この配布資料中の8-5から8-7にかけては今回の議論の助けにとてもなります。)

これでもJANOGとやらで通用しない根拠なのでしょうか。

特定電気通信の通信の秘密に関するまとめ

(追記: 2008/07/19 02:47)
このエントリには解釈によっては断定できない内容が含まれています。最新の自分によるまとめは以下のエントリ(とコメント欄)を御覧ください。
ブログ主のIP晒しは通信の秘密侵害についての再まとめ - へぼへぼプログラマ日記


特定電気通信と通信の秘密とはてなアイドルと - へぼへぼプログラマ日記
上記エントリにまともな反論がないので簡潔に以下でファイナルアンサーとすることにしました。

1. 「送信元IPアドレス」は通信の秘密として保護される
2. 「特定電気通信」においても通信の秘密は存在し、すなわち「送信元IPアドレス」は通信の秘密として保護される
3. 1,2により、「送信元IPアドレス」の違法性阻却事由無き開示は電気通信事業法第四条に違反する

長いとあんまちゃんと読んでくれないみたいだし。